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用語解説 OKR・MBO

OKRとMBOの違いとは
目標管理が「スキル」とつながらない理由

PUBLISHED 公開2026年11月3日
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分類:用語解説(人材・スキル)

目標管理の仕組みとして、「MBO」と「OKR」はよく比べられます。どちらを選ぶべきか、という議論も多い言葉です。この記事では、MBOとOKRそれぞれの意味、違いを比較表で整理したうえで、どちらを選んでも目標管理が止まりやすい共通の理由と、目標を業務と必要な力(スキル)につなぐ考え方を、順に説明します。

DEFINITION
OKRObjectives and Key Results

達成したい目的(Objective)と、その達成度を測る成果指標(Key Results)を組にして、会社から部門、個人まで同じ形でそろえる目標管理の方法。短い周期で見直し、全体に公開し、挑戦的な水準を置くのが特徴。

近い語:MBO(目標による管理)、KPI、目標管理制度
DEFINITION
MBOManagement by Objectives

期初に本人と上司が目標を合意し、期末に達成度を評価する目標管理の方法。「目標による管理」と訳される。日本では人事評価と結びついた制度として広まり、評価や処遇の根拠に使われることが多い。

別名:目標管理制度、目標による管理 / 近い語:OKR、業績評価

MBOとは

MBO(Management by Objectives)は、期初に本人と上司が目標を合意し、期末にその達成度を評価する目標管理の方法です。1950年代の経営学で提唱された考え方が土台で、本来は「上から指示された数字をこなす」のではなく、本人が自分の目標を立てて自己管理することに重きがありました。

日本では1990年代後半から、成果主義の人事制度とともに「目標管理制度」として広まりました。多くの会社で、半期や年度の初めに目標シートを書き、期末に達成度を5段階などで評価し、賞与や昇給に反映する形で運用されています。国家公務員の人事評価も、役割を明確にしたうえで挙げた業績を見る「業績評価」を持ち、これは目標管理型の仕組みです[1]。

MBOが答えるのは、「この人は、期初に約束したことをどこまで達成したか」という問いです。評価の根拠として使うことが前提なので、目標は本人の責任範囲に収まる現実的な水準で置かれ、達成度は100%が基準になります。

OKRとは

OKR(Objectives and Key Results)は、達成したい目的(O)と、その達成度を測る成果指標(KR)を組にして、会社から部門、個人まで同じ形でそろえる目標管理の方法です。1970年代にアメリカの半導体業界で生まれ、2000年前後に大手のIT企業が採り入れたことで広く知られるようになりました。

特徴は4つあります。目的1つに対して成果指標を2〜5個に絞ること。四半期など短い周期で見直すこと。会社全体に公開し、誰の目標も見られるようにすること。そして、達成度60〜70%でよしとする挑戦的な水準を置き、評価や報酬と直接は結びつけないことです。

OKRが答えるのは、「会社は今どこへ向かっていて、自分の仕事はそのどこにつながるか」という問いです。評価のためではなく、方向をそろえるための仕組みです。

OKRとMBOの違い

2つを並べると、次のようになります。

MBOOKR
主な目的個人の達成度を評価し、処遇に反映する会社の向かう先をそろえ、優先順位をはっきりさせる
目標の立て方本人と上司が合意。個人単位会社の目的から部門、個人へと連なる形で置く
周期半期または年度四半期が多い。途中で見直す
目標の数数個から十数個。業務の網羅に寄りやすい目的1つにつき成果指標2〜5個。絞ることが前提
達成の目安100%達成が基準。現実的な水準に置く60〜70%でよしとする。挑戦的な水準に置く
評価・報酬との関係直接つながる。達成度が賞与や昇給の根拠切り離すのが原則。評価は別の仕組みで行う
公開の範囲本人と上司の間にとどまることが多い会社全体に公開する
向く場面役割が安定していて、達成度を公平に測りたいとき変化が速く、全員の向きをそろえたいとき
表1MBOとOKRの違い

根っこの違いは、「評価のため」か「方向をそろえるため」かです。MBOは達成度を公平に測ることに重きがあるので、目標は現実的で、評価と直結します。OKRは全員の向きをそろえることに重きがあるので、目標は挑戦的で、評価とは切り離します。この違いを知らずに、OKRの形だけを採り入れて評価に直結させると、誰も挑戦的な目標を置かなくなり、名前だけ変わったMBOになります。

なお、2つは排他ではありません。会社や部門の向きをそろえる道具としてOKRを、個人の評価の道具としてMBOや業績評価を使う、という併用は珍しくありません。

どちらを選んでも止まりやすい共通の理由

MBOでもOKRでも、導入から数年たつと「目標シートを書く作業だけが残った」という状態になりがちです。原因は方法の選び方よりも、目標と、日々の業務と、それをこなす力との間がつながっていないことにあります。よく見られるのは、次の4つです。

1. 目標は書けるが、達成に要る力が見えない

「売上を2割伸ばす」「不良率を半分にする」という目標は書けます。しかし、それを達成するためにどの業務を変え、どんな力がどの水準で要るのかは、目標シートのどこにも書かれていません。目標と力の間が空白なので、期中に「何を身につければ近づくか」が分からず、期末に結果だけを見ることになります。

2. 成果指標が数字だけで、業務に落ちない

OKRの成果指標は数字で置くのが原則ですが、数字は「結果」であって「やること」ではありません。数字から業務への翻訳を本人任せにすると、部門や人によって解釈がばらつき、同じ指標を追っているのに動きが違う、ということが起きます。

3. 目標の帳簿と、育成の帳簿が別になっている

目標管理は人事評価の帳簿に、研修や育成計画は人材開発の帳簿に、それぞれ別に記録されていることがほとんどです。目標を達成するために身につけた力が育成の記録に残らず、育成で身につけた力が次の目標に生かされない。同じ人の話なのに、帳簿がつながっていないのです。

4. 部門ごとに言葉が違い、横に比べられない

営業の目標、開発の目標、管理部門の目標は、それぞれの言葉で書かれます。会社全体で「どこに力が足りないか」「誰をどこに動かせるか」を見ようとしても、目標の言葉が部門ごとに違うので、横に並べて比べられません。

4つに共通するのは、目標と業務と力をつなぐ共通の物差しがないことです。方法をMBOからOKRに変えても、この物差しがなければ同じところで止まります。

目標とスキルは層が違う

目標管理とスキルは、よく一緒に語られますが、見ている層が違います。

目標は結果を表し、スキルは力を表します。結果は力の使い道であって、力そのものではありません。同じ目標を置いた2人がいても、達成に要る力が足りているかどうかは人によって違います。逆に、同じ力を同じ水準で持つ2人でも、置かれた目標が違えば、求められる動きは違います。両方の層があって、初めて「この目標に向けて、この人は何を伸ばせばよいか」が言えます。

2つをつなぐ鎖は、次の形になります。

目標→その達成に要る業務→その業務に要るスキルと水準→本人の今の水準との差

たとえば、ある担当者が「新しい地域で取引先を増やす」という目標を持ったとします。目標だけでは、何を伸ばせばよいか分かりません。目標を「その地域の市場を調べる」「新規の相手に提案する」「契約の条件を詰める」という業務に落とし、それぞれの業務に要るスキルと水準を見れば、本人の今の水準との差が出ます。この差が、期中に取り組むことであり、育成計画の中身であり、期末に残る成長の記録です。

ここで大事なのは、目標の層とスキルの層を混ぜないことです。目標シートに「提案力を上げる」と書くと、何を達成したかが測れなくなります。スキルの一覧に「売上2割増」と入れると、積み上がる力ではなくなります。目標は目標の形で、スキルはスキルの形で持ち、業務を介してつなぐ。これが、目標管理を書く作業で終わらせない条件です。

この整理は、コンピテンシーとスキルの関係と同じ型です。コンピテンシーは「どう振る舞うか」の層、目標は「何を達成するか」の層、スキルは「何ができるか」の層。それぞれ別の帳簿で持ち、人の全体を見るときに並べる、という考え方です。

スキル大全について

株式会社Personalityの「スキル大全」は、職種・業務・スキルをひとつの体系でつないだ仕事の辞書です。目標管理の仕組みそのものは各社の制度の側で持ち、スキル大全はその隣で、目標を「業務」と「必要な力と水準」に落とすための共通の物差しになる位置づけです。

よく一緒に出てくる用語と並べると、次のようになります。この表は、用語解説の各ページで共通です。

用語定めるもの答える問い使いどころ
タスクディクショナリ業務(何をする仕事か)を職種ごとに一覧にしたものこの職種は、どんな業務を担うのか業務の整理・標準化
スキルタクソノミースキルの分類と階層(どの棚に入るか)。上から下へ枝分かれする木の形このスキルは、どのまとまりに属するのかスキルの整理・集計
スキルディクショナリスキルごとの意味と水準(何ができればよいか)。水準のそろえ方は作る会社しだいこのスキルは何を指し、どこまでできれば「できる」か育成の目標づくり
スキルオントロジースキル同士、スキルと職種・業務・資格との関係(何とどうつながるか)。複数の種類の線でつながる網の形この職種に何が要るか。このスキルに近いものは何か検索、推薦、マッチングの土台
スキルマップ誰が、どのスキルを、どの水準で持っているかの表。水準は自己申告になりやすい今、社内に誰がいて、何が足りないのか現状の把握
スキル大全職種・業務・スキルと、その分類・水準・つながりをひとつながりで持つ辞書。すべてのスキルに4段階のレベル定義と判定設問この職種・この業務に、どの力がどの水準で要るのかを一度に引ける育成・配置・採用の要件に、そのまま置き換えられる
表2スキルの体系に関わる用語の比較(当社整理。解説のある用語は名前から各ページへ)

作って終わりではなく、版を重ねて更新しています。既存のスキル体系をお持ちの企業さまには、対照して統合した「貴社版」もご用意できます。

分類の内訳、定義文、レベル定義、判定設問は一般には公開していません。利用許諾をいただいた企業さまにご提供しています。

よくあるご質問

OKRとMBOは併用できますか。

できます。会社や部門の向きをそろえる道具としてOKRを使い、個人の評価には業績評価やMBOを使う併用は珍しくありません。大事なのは、OKRを評価に直結させないことです。直結させると、挑戦的な目標を置く人がいなくなります。

OKRは評価に一切使ってはいけないのですか。

原則は切り離しですが、「達成度の数字」ではなく「どう取り組んだか」を評価の対話の材料にすることはあります。達成率そのものを賞与の根拠にしないことが、OKRを機能させる条件です。

成果指標(KR)に「スキルを身につける」と書いてもよいですか。

おすすめしません。成果指標は結果を測るものなので、力の習得を置くと、何を達成したかが測れなくなります。スキルの習得は、目標を業務に落としたときに出てくる「本人の水準との差」として、育成計画の側に置くのがよい形です。

小さな会社でも目標管理は要りますか。

人数が少ないうちは、日々の会話で向きがそろうので、形式的な目標管理は要らないことが多いです。部門が分かれ、全員の顔が見えなくなった頃に、向きをそろえる仕組みとしてOKRか、達成度を測る仕組みとしてMBOか、目的に合わせて選ぶのが順当です。

目標管理がうまくいかないのは、方法の選び方が悪いからですか。

多くの場合、方法よりも「目標と業務と力をつなぐ物差しがない」ことが原因です。MBOからOKRに変えても、目標を業務に落とし、業務に要るスキルと水準を見る仕組みがなければ、同じところで止まります。

本稿の要点

KEY POINTS
  • MBOは「評価のため」の目標管理。本人と上司が合意した目標の達成度を期末に評価し、処遇に反映する
  • OKRは「方向をそろえるため」の目標管理。目的と成果指標を組にして全社に公開し、挑戦的な水準を置き、評価とは切り離す
  • どちらを選んでも止まる共通の理由は、目標と業務と力をつなぐ共通の物差しがないこと
  • 目標は「何を達成するか」の層、スキルは「何ができるか」の層。混ぜずに、業務を介してつなぐ
  • 目標→業務→必要なスキルと水準→本人との差、の鎖ができると、期中の取り組みと育成計画と成長の記録がひとつになる

参考資料

本稿は上記を参照し、当社の言葉で整理したものです。各資料の内容そのものは、それぞれの発行元の資料をご確認ください。

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学術的な文脈や社内資料で本稿を引用する場合は、次の形式をお使いください。

株式会社Personality(2026)「OKRとMBOの違いとは|目標管理がスキルとつながらない理由」株式会社Personality 用語解説, 2026-11-03公開, https://www.personality-sea.com/okr-mbo
発行株式会社Personality(スキル辞書「スキル大全」提供元)
更新履歴2026年11月3日 公開
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