Personality
ホーム›用語解説›スキルオントロジー
用語解説 スキルオントロジー

スキルオントロジーとは
スキルタクソノミーとの違い・「関係」の持ち方

PUBLISHED 公開2026年10月31日
最終更新 2026年11月1日
CITATION 引用この記事を引用する
分類:用語解説(人材・スキル)

スキルベース人材マネジメントやAIによる人材マッチングの話で、「スキルオントロジー」という言葉が出てくるようになりました。「スキルタクソノミー」と何が違うのか、何を定めるものなのか。この記事では、スキルオントロジーの意味、タクソノミーやディクショナリとの違い、どんな「関係」を持つのか、そして自社で持つときの考え方を、順に説明します。

DEFINITION
スキルオントロジーskill ontology

スキル同士の関係(上位と下位、近い、前提になる)や、スキルと職種・業務・資格などとの関係を、意味を定めてつないだ体系。階層で分ける「スキルタクソノミー」が木の形なら、スキルオントロジーは複数の種類の関係を持つ網の形。人がたどれるだけでなく、機械が読んでたどれる形で持つことが多い。

別名:スキルグラフ(skills graph)、スキルの知識グラフ / 近い語:スキルタクソノミー、スキルディクショナリ

スキルオントロジーとは

オントロジー(ontology)は、もともと哲学で「ものごとが存在するとはどういうことか」を扱う言葉でした。情報の分野では意味が変わり、「概念と概念の関係を、意味を定めて書き表したもの」を指します。たとえば「犬は動物である」「犬は吠える」「犬は人と暮らす」のように、ものごとの間のつながりを、機械も読める形で定めたものです。

スキルオントロジーは、この考え方をスキルに当てはめたものです。スキルを一覧にして棚に分けるだけでなく、「このスキルはあのスキルの一部」「このスキルの前にあのスキルが要る」「この業務にはこのスキルを使う」のような関係を、スキルの間、そしてスキルと職種・業務・資格との間に定めます。

ポイントは「関係」にあります。スキルの分類(スキルタクソノミー)は、スキルをどこに置くかを決めます。スキルの定義(スキルディクショナリ)は、スキルが何を指すかを決めます。スキルオントロジーは、スキルが何とどうつながるかを決めます。この3つがそろって、スキルは「探せて、意味が分かり、たどれる」ものになります。

スキルタクソノミー・スキルディクショナリとの違い

3つの言葉は、同じスキルの体系を別の面から見たものです。本屋にたとえると、タクソノミーは「棚の分け方」、ディクショナリは「一冊一冊の中身」、オントロジーは「この本を読むならこの本も」「この仕事をするならこの棚のこれ」という本同士・本と人のつながりにあたります。

スキルタクソノミースキルディクショナリスキルオントロジー
定めるものスキルの分類と階層(どの棚に入るか)スキルごとの意味と水準(何ができればよいか)スキル同士、スキルと職種・業務・資格との関係(何とどうつながるか)
形木(上から下へ枝分かれ)一覧(項目ごとの説明)網(複数の種類の線でつながる)
持つ関係の種類上位と下位の1種類なし(項目の中で完結)上位下位、近い、前提、使う場面など複数
答える問いこのスキルはどのまとまりに属するのかこのスキルは何を指し、どこまでできれば「できる」かこの職種にはどのスキルが要るか。このスキルに近いものは何か。この前に何が要るか
主に使う人人事の企画・設計人事の実務、現場の管理職仕組み(検索、集計、マッチング)を作る側
表1スキルタクソノミー・スキルディクショナリ・スキルオントロジーの違い

この表のとおり、スキルタクソノミーの「上位と下位」は、スキルオントロジーが持つ関係の1種類です。つまりタクソノミーはオントロジーの一部にあたります。実務では、まず階層(タクソノミー)と定義(ディクショナリ)を作り、必要になった関係を足していくと、結果としてオントロジーになります。最初から「オントロジーを作ろう」と始める会社は少なく、始めても続きません。

どんな「関係」を持つのか

スキルオントロジーで定める関係は、使い道によって選びます。よく持たれるのは、次のような種類です。

上位と下位—「このスキルは、あの広いスキルの一部」。階層そのもの。束ねて数えるために使う
同じ・近い—「部署が違うと名前が違うが、同じ力」「名前は同じだが、業種が違うと別物」。重なりを見つけ、別物を混ぜないために使う
前提—「このスキルの前に、あのスキルが要る」。育成の順番を示すために使う
使う場面—「この職種の、この業務で、このスキルをこの水準で使う」。職種や業務からスキルを引くために使う。いちばん使い道が広い関係
裏づけ—「この資格や経歴があれば、このスキルがある見込み」。本人の申告に頼らずスキルを推定するために使う
図1スキルオントロジーで持たれることの多い関係の種類

大切なのは、関係の種類を増やしすぎないことです。関係が多いほど、スキルを1つ足すたびに決めることが増え、維持できなくなります。上の中で、最初に持つべきなのは「使う場面」です。職種・業務とスキルがつながっていれば、育成・配置・採用のどの場面でも「この仕事に何が要るか」を引けます。次が「上位と下位」で、これは階層としてすでに持っていることが多いはずです。「近い」「前提」「裏づけ」は、使い道が決まってから足します。

なぜ今、オントロジーが言われるのか

スキルの分類や定義は以前からありました。「関係」まで定めたオントロジーが言われるようになったのは、スキルの使い方が変わったからです。

言い換えると、スキルオントロジーは、スキルを人が読むものから仕組みがたどるものに変えるための体系です。読むだけなら一覧と階層で足ります。たどらせるなら、関係が要ります。

自社で持つときの考え方

1. 階層と定義を先にそろえる

関係は、つなぐ両端がはっきりしていて初めて意味を持ちます。スキルの粒度がばらばらで、定義があいまいなまま関係を引いても、「何と何がつながっているのか」が人によって違う読み方になります。スキルタクソノミーとスキルディクショナリを先に整えてから、関係を足します。

2. 関係は少ない種類から始める

最初は「使う場面(職種・業務とスキル)」と「上位と下位」の2種類で十分です。この2つがあれば、職種からスキルを引くこと、棚ごとに数えることができます。「近い」「前提」は、育成の順番を示したい、重なりを束ねたい、という使い道が出てから足します。

3. 関係にも根拠を残す

「このスキルとあのスキルは近い」と誰が、何を根拠に決めたのか。関係はスキルそのもの以上に、決めた人の主観が入りやすい部分です。根拠を残さないと、あとから見た人が「本当にそうか」を確かめられず、修正もできません。

4. 人が読める名前と、機械が読める番号の両方を持つ

関係を仕組みにたどらせるなら、スキルにも職種にも業務にも、変わらない番号が要ります。名前は改名されますが、番号は残ります。名前だけで関係を持つと、改名のたびに関係が切れます。

5. 同じ名前の別物を、つなげない

「原価管理」は製造業と建設業で中身が違い、「提案」は営業と企画で求められるものが違います。名前が同じだからといって「同じ」の関係で結ぶと、集計も推薦も誤ります。業種や部門で意味が変わるものは、別のスキルとして置き、関係でも結ばないことが、体系を正しく保つ条件です。

スキル大全について

株式会社Personalityの「スキル大全」は、職種・業務・スキルをひとつの体系でつないだ仕事の辞書です。スキルの分類の階層(スキルタクソノミー)、スキルごとの意味と水準の定義(スキルディクショナリ)に加えて、職種から業務、業務からスキルと水準へという「使う場面」の関係を、最初から一体で持っています。

よく一緒に出てくる用語と並べると、次のようになります。この表は、用語解説の各ページで共通です。

用語定めるもの答える問い使いどころ
タスクディクショナリ業務(何をする仕事か)を職種ごとに一覧にしたものこの職種は、どんな業務を担うのか業務の整理・標準化
スキルタクソノミースキルの分類と階層(どの棚に入るか)。上から下へ枝分かれする木の形このスキルは、どのまとまりに属するのかスキルの整理・集計
スキルディクショナリスキルごとの意味と水準(何ができればよいか)。水準のそろえ方は作る会社しだいこのスキルは何を指し、どこまでできれば「できる」か育成の目標づくり
スキルオントロジースキル同士、スキルと職種・業務・資格との関係(何とどうつながるか)。複数の種類の線でつながる網の形この職種に何が要るか。このスキルに近いものは何か検索、推薦、マッチングの土台
スキルマップ誰が、どのスキルを、どの水準で持っているかの表。水準は自己申告になりやすい今、社内に誰がいて、何が足りないのか現状の把握
スキル大全職種・業務・スキルと、その分類・水準・つながりをひとつながりで持つ辞書。すべてのスキルに4段階のレベル定義と判定設問この職種・この業務に、どの力がどの水準で要るのかを一度に引ける育成・配置・採用の要件に、そのまま置き換えられる
表2スキルの体系に関わる用語の比較(当社整理。解説のある用語は名前から各ページへ)

作って終わりではなく、版を重ねて更新しています。既存のスキル体系をお持ちの企業さまには、対照して統合した「貴社版」もご用意できます。

分類の内訳、定義文、レベル定義、判定設問、関係の持ち方の詳細は一般には公開していません。利用許諾をいただいた企業さまにご提供しています。

よくあるご質問

スキルオントロジーとスキルタクソノミーは何が違いますか

スキルタクソノミーは、スキルを棚と個別スキルのような階層で分ける「木」の形の体系です。スキルオントロジーは、上位下位だけでなく、近い・前提になる・この業務で使う、といった複数の種類の関係をスキルの間に定義した「網」の形の体系です。タクソノミーはオントロジーの一部にあたります。

スキルオントロジーとスキルディクショナリは何が違いますか

スキルディクショナリは、スキルごとの意味と水準を定義したものです。スキルオントロジーは、そのスキル同士や、スキルと職種・業務・資格との間の関係を定義したものです。中身を定めるのがディクショナリ、つながりを定めるのがオントロジーです。

スキルオントロジーは自社に必要ですか

スキルを一覧にして棚に分けるところまでなら要りません。必要になるのは、職種や業務からスキルを引く、似たスキルを束ねて数える、あるスキルの前に身につけるべきスキルを示す、といった「たどる」使い方を始めるときです。スキルベース人材マネジメントやAIを使ったマッチングは、この使い方にあたります。

スキルオントロジーは自社で作れますか

作れますが、関係の種類を増やしすぎると維持できなくなります。まず階層と定義をそろえ、関係は職種・業務とのつながりと上位下位の2種類程度から始めるのが現実的です。関係にも根拠を残し、人が読める名前と機械が読める番号の両方を持たせることが長く使う条件です。

スキルグラフとスキルオントロジーは同じですか

ほぼ同じものを指して使われます。オントロジーは「関係の定義のしかた」、スキルグラフは「関係を線でつないだデータそのもの」を指す言い方で、海外の人材プラットフォームではスキルグラフという言葉が多く使われます。

本稿の要点

KEY POINTS
  • スキルオントロジーは、スキル同士や、スキルと職種・業務・資格との「関係」を意味を定めてつないだ体系
  • タクソノミーは「どこに置くか」、ディクショナリは「何を指すか」、オントロジーは「何とどうつながるか」。タクソノミーはオントロジーの一部
  • スキルを「人が読むもの」から「仕組みがたどるもの」に変えるために要る。読むだけなら一覧と階層で足りる
  • 関係は少ない種類から。最初は「使う場面(職種・業務とスキル)」と「上位と下位」の2種類で十分
  • 関係にも根拠を残し、名前でなく番号でつなぎ、同じ名前の別物は結ばない

参考資料

本稿は上記を参照し、当社の言葉で整理したものです。各基準の内容そのものは、それぞれの発行元の資料をご確認ください。

CITATION この記事を引用する

学術的な文脈や社内資料で本稿を引用する場合は、次の形式をお使いください。

株式会社Personality(2026)「スキルオントロジーとは|スキルタクソノミーとの違い・「関係」の持ち方」株式会社Personality 用語解説, 2026-10-31公開, 2026-11-01更新, https://www.personality-sea.com/skill-ontology
発行株式会社Personality(スキル辞書「スキル大全」提供元)
更新履歴2026年10月31日 公開 / 2026年11月1日 用語の比較表を共通化
引用・転載出典(株式会社Personality「スキルオントロジーとは」)を明記のうえ、ご自由に引用いただけます
お問い合わせお問い合わせフォームから受け付けています
「スキル大全」は商標出願中です。関連する記事:スキルタクソノミーとは / スキルディクショナリとは / スキル辞書「スキル大全」とは